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ことば Archive
白鳥
- 2008-04-24 (Thu)
- ことば
そういえば、白鳥はもう帰ったのだろうか。
気づくと会社の窓から見えた満開の桜は緑の葉っぱでいっぱいになっているし、
チューリップのつぼみもほろほろこぼれ始めている。
空気がひんやりし始めたころ、
朝夕、上空を、にゃーにゃー言う声が聞こえ、
見上げると「V」の形になって飛んでいく白鳥が見えた。
あの声は冬が始まる合図だった。
白鳥たちはもう帰ったのだろうか。
そんな話をお昼にしていたら、
物知りおばさんがやってきて
「白鳥は、鳴きながらやって来て、鳴かずにそうっと帰るんだよ」と教えてくれた。
先に来ている仲間や、一緒にすごす鴨達に、
「うちらも来たよー」って教えるため、
にゃーにゃー鳴いて来るらしい。
けれど帰るときは鳴かないで、
しかも海の上を突っ切って、
静かにそうっと帰るらしい。
行きと帰りで飛ぶコースが違うのは、
季節で変わる風が影響するのかなと思うけれど、
賑やかにやってきてこっそり帰るのは何故だろうと、
「仲間に知らせる」という理由を聞いてもなんだか腑に落ちなかった。
でも、
荒れる海の音だとか、
雷の音だとか、
ごうごう言う風の音だとか、
冬を知らせる音は兎角賑やかな気がする。
そして、
気づくと連日晴れているとか、
気づくとレンギョウが咲いているとか、
そういえば手袋がいらなくなったとか、
春の知らせは随分静かな気がする。
そう考えると、白鳥の件も少し、納得できるのだった。
枯れた田んぼで落ち穂を拾う白鳥を、
見ることが無くなって寂しいけれど、
もうすぐそこには水が張られて、
そのうちに真っ青な空を映して、
あっという間に夏になるんだろう。
気づくと会社の窓から見えた満開の桜は緑の葉っぱでいっぱいになっているし、
チューリップのつぼみもほろほろこぼれ始めている。
空気がひんやりし始めたころ、
朝夕、上空を、にゃーにゃー言う声が聞こえ、
見上げると「V」の形になって飛んでいく白鳥が見えた。
あの声は冬が始まる合図だった。
白鳥たちはもう帰ったのだろうか。
そんな話をお昼にしていたら、
物知りおばさんがやってきて
「白鳥は、鳴きながらやって来て、鳴かずにそうっと帰るんだよ」と教えてくれた。
先に来ている仲間や、一緒にすごす鴨達に、
「うちらも来たよー」って教えるため、
にゃーにゃー鳴いて来るらしい。
けれど帰るときは鳴かないで、
しかも海の上を突っ切って、
静かにそうっと帰るらしい。
行きと帰りで飛ぶコースが違うのは、
季節で変わる風が影響するのかなと思うけれど、
賑やかにやってきてこっそり帰るのは何故だろうと、
「仲間に知らせる」という理由を聞いてもなんだか腑に落ちなかった。
でも、
荒れる海の音だとか、
雷の音だとか、
ごうごう言う風の音だとか、
冬を知らせる音は兎角賑やかな気がする。
そして、
気づくと連日晴れているとか、
気づくとレンギョウが咲いているとか、
そういえば手袋がいらなくなったとか、
春の知らせは随分静かな気がする。
そう考えると、白鳥の件も少し、納得できるのだった。
枯れた田んぼで落ち穂を拾う白鳥を、
見ることが無くなって寂しいけれど、
もうすぐそこには水が張られて、
そのうちに真っ青な空を映して、
あっという間に夏になるんだろう。
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雨だかみぞれだか
- 2008-03-31 (Mon)
- ことば
雨だかみぞれだか分からないが、
何かが降り、窓に当たる。
その後ろを行き交う風の低い音といい、
窓にあたる粒の小ささ、強さといい、
全てが冬の音である。
ついでに海の荒れた音が松林を抜けて聞こえて来る。
波がたぐり寄せられ膨らんで砂浜へ押し寄せるように、
風が遠くから寄り集まって ごう と唸ってやって来る。
冬だ。
冬の音がする。
寝よう。
明日は4月だ。
何かが降り、窓に当たる。
その後ろを行き交う風の低い音といい、
窓にあたる粒の小ささ、強さといい、
全てが冬の音である。
ついでに海の荒れた音が松林を抜けて聞こえて来る。
波がたぐり寄せられ膨らんで砂浜へ押し寄せるように、
風が遠くから寄り集まって ごう と唸ってやって来る。
冬だ。
冬の音がする。
寝よう。
明日は4月だ。
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今日の雪
- 2008-01-10 (Thu)
- ことば
12月31日以来の雪が、降りました。
年明けからずっと、
雪の予報が続いていたのに、
実際は、曇りか、せいぜい雨が降るくらいで、
日によってはお日様が出ることもあり、
天気予報ってこんなに外れるもんなんだと、思っていました。
ようやく、
「海沿いの地域、朝から雪が降るでしょう」
という天気予報が当たったのでした。
外に出たら、細かい雪が降ってました。
傘にさらさら当たる音がしていたので、
きっと、空気も冷え込んでいたんだと思います。
(暖かい空気だと、もっと水っぽい音がしますもんね)
このまま降り続き、帰る頃には辺り一面真っ白になるのだろうと思いました。
真っ白になったら、写真を撮ろうと思いました。
雪を見ると写真を撮りたくなるのだけれど、
今朝は撮らずに歩きました。
枯れ草がちらっと見えるくらいに雪が積もって、
公園のフェンスの上に1cmくらい雪が積もって、
誰かの足跡がうっすら残っていて、
道路を走る車のスピードがとてもゆっくりで、
傘に当たる雪の音が聞こえる、
静かな朝でした。
会社の窓からも、静かに降る雪が見えました。
風に吹かれて斜めに降ったり、
窓際まできて、ふわっと上へ登ったり、していました。
このまま積もるんだろうな。
楽しみだなと、わくわくしながら、仕事を始めました。
喉が渇いて、コーヒーが飲みたいなと思いました。
机に置いたマグカップを持って、窓際へ向かいました。
お日様が覗いていたらしく、ポットがてかてか光っていました。
窓の下に、アスファルトが見えました。
むこうの空き地の、草が見えました。
雪は溶け、無くなっていました。
今朝方降っていたのは、積もり始めていたのは、見間違えだったのかなと思いました。
誰かが隣で、「晴れて良かったですね」と言いました。
「帰りの運転が不安だったんです」と言いました。
「晴れて良かったですね」と答えました。
でもホントは、ちっとも良くないと思っていました。
楽しみにとっておいたケーキを食べられちゃったような気分でした。
コーヒーが入ったマグカップで両手を温めながら、外を見ていました。
すこし濡れたアスファルトが眩しいくらい光っていました。
年明けからずっと、
雪の予報が続いていたのに、
実際は、曇りか、せいぜい雨が降るくらいで、
日によってはお日様が出ることもあり、
天気予報ってこんなに外れるもんなんだと、思っていました。
ようやく、
「海沿いの地域、朝から雪が降るでしょう」
という天気予報が当たったのでした。
外に出たら、細かい雪が降ってました。
傘にさらさら当たる音がしていたので、
きっと、空気も冷え込んでいたんだと思います。
(暖かい空気だと、もっと水っぽい音がしますもんね)
このまま降り続き、帰る頃には辺り一面真っ白になるのだろうと思いました。
真っ白になったら、写真を撮ろうと思いました。
雪を見ると写真を撮りたくなるのだけれど、
今朝は撮らずに歩きました。
枯れ草がちらっと見えるくらいに雪が積もって、
公園のフェンスの上に1cmくらい雪が積もって、
誰かの足跡がうっすら残っていて、
道路を走る車のスピードがとてもゆっくりで、
傘に当たる雪の音が聞こえる、
静かな朝でした。
会社の窓からも、静かに降る雪が見えました。
風に吹かれて斜めに降ったり、
窓際まできて、ふわっと上へ登ったり、していました。
このまま積もるんだろうな。
楽しみだなと、わくわくしながら、仕事を始めました。
喉が渇いて、コーヒーが飲みたいなと思いました。
机に置いたマグカップを持って、窓際へ向かいました。
お日様が覗いていたらしく、ポットがてかてか光っていました。
窓の下に、アスファルトが見えました。
むこうの空き地の、草が見えました。
雪は溶け、無くなっていました。
今朝方降っていたのは、積もり始めていたのは、見間違えだったのかなと思いました。
誰かが隣で、「晴れて良かったですね」と言いました。
「帰りの運転が不安だったんです」と言いました。
「晴れて良かったですね」と答えました。
でもホントは、ちっとも良くないと思っていました。
楽しみにとっておいたケーキを食べられちゃったような気分でした。
コーヒーが入ったマグカップで両手を温めながら、外を見ていました。
すこし濡れたアスファルトが眩しいくらい光っていました。
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カミナリとマニキュア
- 2007-10-27 (Sat)
- ことば
今朝方のカミナリはすごかった。
今朝方というか、明け方だったのかしら。
寝ていたから、時間は分からないけれど。
バリバリバリ
びりびり
シンバルをドシャーンと鳴らすような。
そんな音がした。
何度も。
音を言葉にすることは難しい。
明け方、バチバチ言う雨の音で目覚めた。
慌てて窓を閉めた。
涼しい夜風が気持ち良くて、窓を開けたままだったの。
閉めたそばから、ガラスへしずくがぶつかって来た。
そして、シンバルの音。
ドシャーン
空を真っ二つに引き裂く音、だった。
正に、そうとしか言いようのない音だった。
すごい音だったなあ。
普段カミナリなんて怖くないのに、
その時はなんだかとても怖かった。
初めてカミナリの音に怯えてお布団に丸まった。
そのままうつらうつらしていたら、静かになった。
雨が止んだようだった。
同時に明るくなった。
朝になったみたいだった。
このまま寝たら、たぶん、寝坊しちゃうから、
起きた。
起きたけど、早すぎてやることがない。
そうだ、マニキュア塗ろう。
思いつき。
窓を開けたら、涼しい風が入ってきた。
本当にカミナリは鳴っていたのだろうか?
マニキュアを塗るのは久しぶりで、
どれも分離していたから、
一瓶ずつ、よく振って混ぜる。
まだ寝静まったままの部屋に、
マニキュアの瓶の中で転がる小さなボールの音がする。
お気に入りだった、うすいピンクの瓶を開け、
左の親指へ塗った。
短い指の先が、てらてら光る。
窓から風が入って来て、マニキュアの匂いが目に入った。
つーんとして痛くって、涙流しながら、塗った。
久しぶりに嗅いだその匂いはやけに刺激的で、胃がきゅうっとなった。
あんまりにも胃がきゅうきゅうするから、
ベランダへ出て深呼吸した。
外の空気は澄んでいた。
ベランダの床はびしょ濡れだった。
本当に雨は降ったらしい。
部屋に戻ると、中はマニキュア臭くって、
なんだか嫌になっちゃって、
ベランダにまた出ると、
そこへしゃがんで除光液で爪を拭いた。
爪の上を風が通ると、すうーっとしてヒンヤリ気持ち良かった。
しばらくそうしていると、
お日様の光が強くなって、顔が暖かくなってきて、
どこかのお家の目覚める音がして、
前のお宅の玄関からネコがぬうっと現れて、伸びた。
部屋へ戻るとマニキュアの匂いが、無くなっていた。
本当にマニキュアを塗ったのだろうか?
髪を束ねようとした手から、つーんとあの匂いがした。
確かに塗ったらしい。
今朝方というか、明け方だったのかしら。
寝ていたから、時間は分からないけれど。
バリバリバリ
びりびり
シンバルをドシャーンと鳴らすような。
そんな音がした。
何度も。
音を言葉にすることは難しい。
明け方、バチバチ言う雨の音で目覚めた。
慌てて窓を閉めた。
涼しい夜風が気持ち良くて、窓を開けたままだったの。
閉めたそばから、ガラスへしずくがぶつかって来た。
そして、シンバルの音。
ドシャーン
空を真っ二つに引き裂く音、だった。
正に、そうとしか言いようのない音だった。
すごい音だったなあ。
普段カミナリなんて怖くないのに、
その時はなんだかとても怖かった。
初めてカミナリの音に怯えてお布団に丸まった。
そのままうつらうつらしていたら、静かになった。
雨が止んだようだった。
同時に明るくなった。
朝になったみたいだった。
このまま寝たら、たぶん、寝坊しちゃうから、
起きた。
起きたけど、早すぎてやることがない。
そうだ、マニキュア塗ろう。
思いつき。
窓を開けたら、涼しい風が入ってきた。
本当にカミナリは鳴っていたのだろうか?
マニキュアを塗るのは久しぶりで、
どれも分離していたから、
一瓶ずつ、よく振って混ぜる。
まだ寝静まったままの部屋に、
マニキュアの瓶の中で転がる小さなボールの音がする。
お気に入りだった、うすいピンクの瓶を開け、
左の親指へ塗った。
短い指の先が、てらてら光る。
窓から風が入って来て、マニキュアの匂いが目に入った。
つーんとして痛くって、涙流しながら、塗った。
久しぶりに嗅いだその匂いはやけに刺激的で、胃がきゅうっとなった。
あんまりにも胃がきゅうきゅうするから、
ベランダへ出て深呼吸した。
外の空気は澄んでいた。
ベランダの床はびしょ濡れだった。
本当に雨は降ったらしい。
部屋に戻ると、中はマニキュア臭くって、
なんだか嫌になっちゃって、
ベランダにまた出ると、
そこへしゃがんで除光液で爪を拭いた。
爪の上を風が通ると、すうーっとしてヒンヤリ気持ち良かった。
しばらくそうしていると、
お日様の光が強くなって、顔が暖かくなってきて、
どこかのお家の目覚める音がして、
前のお宅の玄関からネコがぬうっと現れて、伸びた。
部屋へ戻るとマニキュアの匂いが、無くなっていた。
本当にマニキュアを塗ったのだろうか?
髪を束ねようとした手から、つーんとあの匂いがした。
確かに塗ったらしい。
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昼の怪
- 2007-08-20 (Mon)
- ことば
朝方の青空が嘘のように、
気づくと空は灰色に覆われていた。
さらに、海の方から濃い鉛色の雲が、
もわもわと侵入してきていた。
突き抜けるような青空は何処にも見あたらない。
あの空は、何時の間に去ったのだろう。
そんな疑問を嘲笑うかのように、
海の方から重そうな雲が、どんどん此方へ覆い被さって来る。
その動き、その雰囲気は、
まさに不穏、不気味、不安、
そういったものを全て具現化したようで、
覆い被さる雲を切り裂いて、
真っ赤な口を開いた悪魔が、今にも覗き込んで来そうだった。
墨を垂らしたようなその雲は、
天から誰かが吹き込んでいるとしか思えない動きをしている。
次々と沸き、広がる。
冷たい湿った風が、その雲の広がる動きに合わせ降りてくる。
降りてくる。
乾いた砂が、舞い上がり、
日に照らされ枯れた草が、音を立てている。
その上を、一歩一歩確かめるように歩く猫。
しまちゃんだ。
はす向かいの家のおばあさんに飼われた、しましまの猫。
柔らかな毛は冷たい風にそよいでいる。
尖った小さな耳は、時折ぴくりと動く。
白い足を、茶色く枯れた草の上へ乗せる。
丸い身体をそこへ伸ばした。
上から見るとまるでツチノコのようだ。
しまちゃんは不安そうな顔で、空を見上げる。
わたしと目が合う。
目をそらす。
前方を見据える。
何が見える?
何かがひらひら飛んでくる。
ちょうちょだ。
しまちゃんはそれを目で追う。
ちょうちょは空から吹き付ける風に煽られ、
ふらりと横へ流された。
それを追いかけた顔は、また空へ向けられる。
わたしと目が合う。
しまちゃんと同じ空を見上げる。
眩しい。
あの、重く覆い被さっていた雲は、何時の間に消えたのだろう。
そんな疑問を嘲笑うかのように、
突き抜けるような青空が、大きな口を開けていた。
気づくと空は灰色に覆われていた。
さらに、海の方から濃い鉛色の雲が、
もわもわと侵入してきていた。
突き抜けるような青空は何処にも見あたらない。
あの空は、何時の間に去ったのだろう。
そんな疑問を嘲笑うかのように、
海の方から重そうな雲が、どんどん此方へ覆い被さって来る。
その動き、その雰囲気は、
まさに不穏、不気味、不安、
そういったものを全て具現化したようで、
覆い被さる雲を切り裂いて、
真っ赤な口を開いた悪魔が、今にも覗き込んで来そうだった。
墨を垂らしたようなその雲は、
天から誰かが吹き込んでいるとしか思えない動きをしている。
次々と沸き、広がる。
冷たい湿った風が、その雲の広がる動きに合わせ降りてくる。
降りてくる。
乾いた砂が、舞い上がり、
日に照らされ枯れた草が、音を立てている。
その上を、一歩一歩確かめるように歩く猫。
しまちゃんだ。
はす向かいの家のおばあさんに飼われた、しましまの猫。
柔らかな毛は冷たい風にそよいでいる。
尖った小さな耳は、時折ぴくりと動く。
白い足を、茶色く枯れた草の上へ乗せる。
丸い身体をそこへ伸ばした。
上から見るとまるでツチノコのようだ。
しまちゃんは不安そうな顔で、空を見上げる。
わたしと目が合う。
目をそらす。
前方を見据える。
何が見える?
何かがひらひら飛んでくる。
ちょうちょだ。
しまちゃんはそれを目で追う。
ちょうちょは空から吹き付ける風に煽られ、
ふらりと横へ流された。
それを追いかけた顔は、また空へ向けられる。
わたしと目が合う。
しまちゃんと同じ空を見上げる。
眩しい。
あの、重く覆い被さっていた雲は、何時の間に消えたのだろう。
そんな疑問を嘲笑うかのように、
突き抜けるような青空が、大きな口を開けていた。
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